3.本年度の作業報告
3.1自動従属監視(ADS)に関する研究
3.1.1 ICAOのADSPにおける標準化の動向調査
3.1.1.1ADSP最近の状況
(1)ADSP
ADSP(ICAO Automatic Dependent Surveillance Panel)はFANS ?特別委員会の勧告に基づいて航空委員会(ANC)が設定した専門家会議の一つである。
当初はIATAの反対があったためADS Study Group(ADSSG)として発足しており、第1回会議が1988年3月に、第2回会議がその年の12月にモントリオールで開かれた。
IATAが反対を引っ込めたのでANCは1990年4月にADSPanelの設定を決めた。第1回会議は1991年1月、第2回会議は1992年6月、第3回会議は1994年5月、第4回会議は1996年9月に開催されており、最後となるであろう第5回会議は1998年秋に予定されている。
言うまでもなくADSPでは衛星、データリンク及び高度情報処理技術を用いることがその基本的な考え方となっている。理事会の設定したFANS特別委員会が作成、提出した報告書(Doc9524, FANS/4May1988)を承認した理事会、航空委員会は15年間開かれていなかった航空会議(Air Navigation Conference)を召集してその審議を求めた。第10回航空会議は1991年9月、特別委員会の提案を認め、これはICAOの考え方、システムであるとしてlCAO Co?unications,Navigation、Surveillance/Air Traffic Management概念またはシステムと呼ぶことにした。
すべての交通手段は安全でなければならない。航空交通も同じである。わが国の航空法はその目的として法第1条に「国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して、航空機の航行の安全及び航空機の航行に起因する障害の防止を図るための方法を定め、並びに航空機を運行して営む事業の秩序を確立し、もって航空の発達を図ることを目的とする。」とうたっている。
交通量の増加または交通流の複雑化によって安全が損なわれるようになると交通に制限を加えることになる。安全性のために経済性が犠牲になる訳である。この時にはコンピューター技術(Automation)を導入すべきである、とICAO ATC Automation Panel V(1962)報告書に書かれている。
Automationと言う言葉が工場の無人化と思いこんだ反対運動があったこともある。しかし最初から航空システムの中では無人工場的は考え方はなかったし今後も出て来ないであろう。人間はコンピューターよりも蓬かに優れているからである。ただ、人問は人間であるため間違いを起こす、しかも繰り返して間違うことがあるため、その対策を考えておくことが重要である。このことがICAOでも取り上げられHuman Factors Study Group等で研究され、その成果がCNS/ATMシステム関係のSARPs等々に取り入れられている。
今世紀から21世紀初めにかけてのシステムを構築するCNS/ATM概念には最初から安全性と
前ページ 目次へ 次ページ